読売新聞《アンテナ》にはらちゃん＠中町綾子（日本大学教授）

もう３月ですねー。。。早っΣ(＠∀＠)

2/28の読売新聞・夕刊の「アンテナ」という中町綾子（日本大学教授）のテレビのコラムに、、『泣くな、はらちゃん』のレビューが載ってました(*ﾟーﾟ*)v
読売新聞・夕刊は、前にビブオさんのインタビューも載ってて面白かったっけな～。。



ピュアで大胆な「はらちゃん」
　「泣くな、はらちゃん」で長瀬智也が演じるピュアで大胆なはらちゃんが魅力的だ。彼のストレートな気持ちの表現と存在感に大いに心動かされる。その驚きのまなざしに優しく照らし出される心の機微に温かい気持ちになる。
　彼は、かまぼこ工場で働く越前さん（麻生久美子）が描く漫画の主人公だ。彼女は日々の鬱憤を、漫画を描いてやり過ごす。はらちゃんは、その愚痴を毎日のように代弁させられていた。が、これではいけないと、漫画の世界から飛び出して彼女に訴え、その心の凝りをやわらげていく。
　はらちゃんの目に映る世界は輝き満ちている。彼女が漫画に描く薄暗い居酒屋のような場所とは全然違う。はらちゃんが、それらに驚き、食いつく様子は、いかにも漫画のキャラクターっぽく、コミカルで愛らしい。その港町は光りにあふれ、路地にいる猫はかわいい。彼はたじろぎ、目を見開き、次の瞬間に目じりをさげ、そして、雄たけびをあげる。見ていて、自分もテンション上げて毎日を楽しみたくなる。
　バレンタインデーのチョコレートをもらった時はこうだ。その前日、はらちゃんは風邪で寝込んだ越前さんを看病した。彼女は漫画の世界に戻っていった彼の手に大きなチョコを描き込む。漫画の世界ではらちゃんは、そのチョコをかじって歓喜する。「なんだこれは！　おいしすぎますぅ」。そうして、思いを寄せる人と気持ちが通じる幸せの味をかみしめる。彼の幸せと越前さんの幸せの両方が、そこにある。
　さて、ドラマも佳境にさしかかっている。長瀬がおおらかに演じるはらちゃんは、人の死に向き合う気持ちのいろいろも、温かく包み込む。
　工場長のたまちゃん（光石研）が、酔って夜の海に落ちて帰らぬ人になった。たまちゃんは、はらちゃんの素朴な質問にも気持ちよくつきあってくれていた。はらちゃんにキスを教えたのも彼だ。
　たまちゃんの死に、越前さんは父の死を重ねる。大切な人が去っていく寂しさを思う。はらちゃんは悲しみにくれる越前さんの前に現れて、請われるままに彼女を抱きしめる。そして、越前さんからのキスに驚く。はらちゃんが見せる涙、大きな体で不器用に彼女を包む仕草が愛しく映る。死を悼む気持ちに、会いたい時に会いたいと思う人のいる幸せや、大切なことを教えてくれた人への感謝を、やさしく感じさせる。
　結末が気になる。自分の描く漫画の主人公を愛してしまった越前さん。彼女が自分の世界にどう向き合うかを見守りたい。